走行距離課税は2026年に始まる?片山財務相の答弁とEV課税の行方を徹底解説
「走行距離課税は2026年から始まるのか」「ガソリン税がなくなれば、今度は走った距離に応じて税金を取られるのか」。自動車を所有する人にとって、税負担の変化は家計や車の買い替え計画を左右する問題です。
2026年5月29日の衆議院財務金融委員会で、片山さつき財務大臣は、走行距離課税について「政府として具体的に検討しておりません」と答弁しました。したがって、2026年10月28日現在、走行距離課税の導入日や税率が決まっているわけではありません。一方、ガソリン税の暫定税率廃止やEV(電気自動車)をめぐる自動車税制の見直しは進んでおり、両者を混同しないことが大切です。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 導入時期:2026年10月28日現在、走行距離課税の導入は決定しておらず、具体的な開始日も公表されていない。
- 政府答弁:2026年5月29日、片山さつき財務大臣は、政府として具体的に検討していないと衆議院財務金融委員会で説明した。
- 今後の注目点:ガソリン税などの燃料課税とEVの税負担の公平性は引き続き政策課題。2026年度の税制改正で示されたEV・PHEVの重量に応じた負担は、走行距離課税とは別の制度だ。
【2026年最新】走行距離課税はいつから?5月29日の政府答弁で分かった現在の状況
まず、最も気になる「走行距離課税はいつから導入されるのか」という疑問に答えます。2026年10月28日現在、導入時期は決まっていません。2026年4月から一律に課税が始まったという事実もなく、政府が導入日や税額を正式決定したという発表もありません。
判断の根拠となるのが、2026年5月29日に開かれた第221回国会・衆議院財務金融委員会の会議録です。国民民主党の近藤雅彦委員は、ガソリン車では走行に伴って揮発油税や地方揮発油税が発生する一方、EVでは同じ燃料税が発生しない点を踏まえ、片山財務大臣に走行距離課税の検討状況を尋ねました。
これに対し、片山大臣は次のように答えています。
「これまでも国会における答弁で申し上げているとおり、御指摘のいわゆる走行距離課税について、政府として具体的に検討しておりません。」
この答弁が示すのは、走行距離課税の導入に向けた具体的な政府検討が行われていないということです。将来にわたって議論が起きないと保証したものではありませんが、少なくとも「2026年に導入される」「導入日が決まった」と判断できる状況ではありません。
また、2026年3月5日の衆議院本会議でも、走行距離課税や出力課税について、政府として具体的に検討しているわけではないとの答弁がありました。5月29日の答弁は、それまでの政府説明を改めて確認したものです。
ネット上で「走行税が来年から始まる」「EVに乗ると走行距離に応じて課税される」といった情報を見かけた場合は、税制改正大綱や国会会議録に導入決定、施行日、税率が明記されているかを確認する必要があります。制度の検討を求める意見が出たことと、実際に法律が成立したことは別の話です。
【なぜ導入が議論される?】走行距離課税の仕組み・導入理由・税額を解説
走行距離課税とは何か
走行距離課税とは、車が走った距離に応じて税負担を求める仕組みです。一般的な制度案では、一定期間に走行した距離を把握し、距離に応じた税額を計算する方法が想定されます。ただし、日本で導入が決まった制度ではないため、具体的な徴収方法や計算ルールは確定していません。
仮に1km当たりの税率を設定する方式であれば、基本的な計算イメージは「課税対象となる走行距離×1km当たりの税率」です。しかし、実際にどの距離を対象とするのか、年間の走行距離をどのように確認するのか、税率をどう設定するのかといった条件は未定です。現段階で年間の税額や追加費用を具体的に計算することはできません。
導入理由として挙げられる3つの論点
1. EV普及による燃料税収の変化
ガソリン車は燃料を購入する際、揮発油税や地方揮発油税などの負担が生じます。一方、電気で走るEVはガソリンを使用しないため、これらの燃料税を同じ形では負担しません。EVの普及が進むと、従来の燃料課税を前提とした税収構造をどう維持するかが政策上の課題になります。
2. 道路の維持管理費用と負担の公平性
道路の整備や補修には継続的な費用がかかります。走行距離課税を支持する立場からは、道路を利用する距離に応じて負担を求めることで、走行距離と税負担の関係を分かりやすくできるという考え方があります。ただし、道路の損傷は距離だけで決まるわけではなく、車両重量や車種、走行環境なども関係するため、距離だけを基準にすれば公平性が確保できるとは限りません。
3. 自動車関連税制全体の再設計
自動車に関する税金は、購入時、保有時、走行時など複数の段階に分かれています。制度が複雑であることや、車種によって負担の構造が異なることから、税制全体を整理する必要性も議論されています。ただし、税制全体の見直しが必要とされていることは、走行距離課税の導入が決まったことを意味しません。
税額・費用はいくらになる?
2026年10月28日現在、走行距離課税について正式な税率、年間上限額、免税措置などは決まっていません。したがって、「年間1万km走ると何円」「月々いくら負担が増える」といった具体的な金額を断定することはできません。
仮に制度化する場合でも、年間走行距離だけでなく、営業用車両の扱い、低走行車への配慮、車両重量との関係、既存の自動車関連税をどう調整するかによって、最終的な負担は変わります。税率だけを切り離して考えるのではなく、既存の税金を減らすのか、追加で課すのかという点が家計への影響を左右します。
【ガソリン税・自動車税との違い】導入議論の経緯と制度の関係を整理
走行距離課税を理解するには、現在の自動車関連税との違いを整理することが欠かせません。車に関する税金には、走行距離とは直接連動しないものも多くあります。
まず、ガソリン税はガソリンの消費に伴って負担する税金です。走行距離課税は距離そのものを課税基準とする考え方であり、燃費や走行距離が同じでも、燃料の種類や車両の使い方によって既存の税負担は異なります。
また、自動車税は原則として毎年4月1日現在の所有者に課される保有段階の税金です。自動車重量税は車両重量を基準とする税金で、車検時などに納付します。これらは走った距離に応じて直接増減する仕組みではありません。
走行距離課税をめぐる議論は、2018年末の税制改正論議などで表面化し、その後も自動車関連税制の将来像を考える中で繰り返し取り上げられてきました。政府税制調査会での議論や国会答弁を追うと、検討すべき課題として話題になることと、政府が具体的な制度設計に着手することの間には隔たりがあると分かります。
| 時期・主体 | 主な出来事 | 走行距離課税との関係 |
|---|---|---|
| 2018年末 | 自動車関連税制の改正論議で走行距離課税が浮上 | 税制見直しの論点として注目されたが、導入決定には至らず |
| 2022年10月 | 政府税制調査会で消費課税や自動車関連税制を議論 | 走行距離に応じた負担のあり方が政策論点の一つとなる |
| 2025年9月 | 加藤財務大臣が衆議院予算委員会で政府の検討状況を説明 | 政府として具体的に検討していないと答弁 |
| 2026年3月5日 | 片山財務大臣が衆議院本会議で答弁 | 走行距離課税や出力課税について具体的に検討していないと説明 |
| 2026年5月29日 | 片山財務大臣が衆議院財務金融委員会で答弁 | 政府として具体的に検討していないとの立場を再確認 |
| 2026年度税制改正 | 環境性能割の廃止や軽油引取税の暫定税率廃止などを実施 | 自動車税制は実際に変更されたが、走行距離課税の導入決定とは別 |
この経緯から読み取れるのは、走行距離課税が長期的な税制論議の対象になっている一方、2026年時点で具体的な導入計画は示されていないということです。税制改正が行われたというニュースだけで、走行距離課税まで決まったと受け取らないよう注意しましょう。
【EV普及との関係】2026年の税制改正で変わったこと、変わっていないこと
走行距離課税が繰り返し話題になる背景には、EVの普及と自動車関連税収の関係があります。ガソリン車では燃料を購入するたびに燃料税が発生しますが、EVではガソリン税や軽油引取税を同じ形では負担しません。この違いを、将来の税制でどのように扱うかが議論の焦点になっています。
ただし、EVの税負担を見直す方法は、走行距離課税だけではありません。車両重量を基準とした負担や、既存の自動車重量税の仕組みを調整する方法も考えられます。実際、2026年度の税制改正では、EV・プラグインハイブリッド車(PHEV)の税負担に関する方針が示されました。
2026年度税制改正で決まった主な変更
自動車税・軽自動車税の環境性能割は2026年3月31日をもって廃止されました。これは自動車の取得時に課されていた税金の見直しです。
また、軽油引取税の暫定税率は2026年4月1日に廃止されました。ガソリンの暫定税率部分についても2025年12月31日に廃止されています。これらは燃料にかかる税負担の変更であり、燃料税そのものがすべてなくなったわけではありません。
さらに、2026年度の税制改正では、自家用の乗用EV・PHEVについて、車両重量に応じた一定の負担を求める方針が示されています。具体的な税率は2027年度税制改正で検討し、法制化する方針で、2028年5月の車検から課税を開始する扱いが整理されています。
ここで重要なのは、EVに対する重量に応じた負担と、走行距離課税は別の制度だという点です。前者は車両重量を基準とするもので、走った距離に応じて税額を計算する仕組みではありません。
2026年の自動車税制では、実際に廃止された税金や将来の負担方針が存在します。しかし、それを根拠に「走行距離課税が2028年から始まる」と説明するのは誤りです。制度の名称、課税対象、税額の基準、施行日をそれぞれ確認する必要があります。
【メリット・デメリット】走行距離課税への反対意見と家計への影響
走行距離課税には、税負担を利用実態に近づけられる可能性がある一方、新たな負担や制度運用上の問題もあります。賛成・反対の論点を整理すると、何が争点になっているのかが見えてきます。
メリットとして考えられること
走行距離に応じた負担を設計できることは、支持する立場が挙げる主な利点です。年間の走行距離が短い人と長い人で負担を変えられるため、車の利用量を反映した制度にできる可能性があります。
また、ガソリン車やEVなど動力源が異なる車について、燃料の種類に左右されない共通の課税基準を設けられるという考え方もあります。EVが増えて燃料税収が変化する場合でも、距離を基準とする仕組みなら、動力源の違いによる税負担の差を調整しやすくなる可能性があります。
ただし、走行距離だけで道路への負荷や行政サービスの受益を正確に測れるわけではありません。車両重量や用途、道路の種類などをどこまで考慮するかによって、制度の公平性は変わります。
デメリットと反対意見
1. 地方や長距離通勤者の負担が重くなりやすい
公共交通機関が充実している都市部と比べ、地方では通勤、通院、買い物などに自家用車が欠かせない地域があります。仕事や生活に必要な移動距離が長い人ほど税負担が増える仕組みになれば、居住地域による不公平感が生まれるおそれがあります。
2. 既存の税金との二重負担が問題になる
自動車の所有者は、すでに自動車税や自動車重量税を負担し、ガソリン車などでは燃料税も支払っています。走行距離課税を新設して既存の税金を維持すれば、負担が上乗せされる可能性があります。導入するなら、どの税金を減らすのか、税負担全体をどう調整するのかという説明が不可欠です。
3. 走行距離の把握とプライバシーへの配慮が必要になる
制度を運用するには、課税対象となる距離を正確に把握しなければなりません。車検時の走行距離計の記録を利用するのか、車載機器などを使うのかによって、事務負担や不正防止の方法は変わります。位置情報を継続的に取得する方式を採用する場合は、プライバシーへの懸念も大きくなります。
現時点で日本の走行距離課税に採用される測定方法は決まっていません。GPSによる常時追跡が導入されると断定することもできません。
反対意見の中心にあるのは、単に増税への抵抗だけではありません。車が生活必需品となっている地域への配慮、既存税制との整合性、徴税コスト、個人情報の扱いなど、制度設計に関わる問題です。
【今後の税制議論】走行距離課税の導入予定を見極める3つのポイント
走行距離課税が将来の税制改革で再び取り上げられる可能性はあります。しかし、2026年10月28日現在、政府が具体的に検討していないと答弁している以上、導入を前提に家計や車の購入計画を組み立てる段階ではありません。
1. 国会答弁が「具体的に検討していない」から変わるか
2026年3月5日の衆議院本会議、同年5月29日の衆議院財務金融委員会で、政府は走行距離課税について具体的に検討していないと説明しました。今後の変化を判断するうえでは、財務大臣や総務大臣の答弁、政府の正式発表、法案の提出状況が重要になります。
2. 税制改正大綱に具体的な制度設計が盛り込まれるか
自動車関連税制の見直し自体は、国・地方の安定的な財源確保、公平・中立・簡素な課税、道路インフラの維持、カーボンニュートラルなどを踏まえて進められています。しかし、走行距離課税が実際に導入されるかどうかは別問題です。
制度化の動きを確認する際は、税制改正大綱などの公的資料に、課税対象、税率、徴収方法、開始時期、既存税制との調整が具体的に記されているかを確認しましょう。「検討が必要という意見が出た」という記述だけでは、導入が決まったとはいえません。
3. EVの税負担見直しと混同しない
2026年度税制改正では、環境性能割の廃止や軽油引取税の暫定税率廃止が実施され、EV・PHEVについては重量に応じた負担を求める方針も示されました。今後の自動車税制を理解するには、これらの変更と走行距離課税を分けて追う必要があります。
読者が判断材料にすべきなのは、噂の拡散速度ではなく、法令や税制改正大綱にどのような制度が書かれているかです。導入日や税率が示されていない段階で、将来の税額を確定した情報のように扱うことはできません。
【プロの結論】走行距離課税に関するよくある質問(FAQ)
Q1:走行距離課税は2026年から導入されますか?
A1:いいえ。2026年10月28日現在、導入は決定していません。2026年5月29日の衆議院財務金融委員会で、片山さつき財務大臣は政府として具体的に検討していないと答弁しています。
Q2:走行距離課税の導入予定日はいつですか?
A2:導入予定日は決まっていません。税率や課税対象、走行距離の測定方法、徴収方法についても正式な制度設計は公表されていません。
Q3:EVに対する新しい税金は走行距離課税ですか?
A3:別の制度です。2026年度税制改正では、自家用の乗用EV・PHEVについて車両重量に応じた負担を求める方針が示されています。これは走行距離ではなく車両重量を基準とする仕組みで、2028年5月の車検からの課税開始に向けて具体的な税率を検討する方針です。
まとめ:走行距離課税は未導入、今後は公式な税制改正の内容に注目
走行距離課税について、2026年10月28日現在、導入時期も税額も決まっていません。2026年5月29日の衆議院財務金融委員会で、片山さつき財務大臣は政府として具体的に検討していないと明言しており、2026年中に導入されるという見方を裏付ける政府決定は確認できません。
一方、EVの普及に伴う燃料税収の変化や、道路の維持管理費用を誰がどのように負担するかという問題は、今後の自動車税制を考えるうえで重要な論点です。2026年度には環境性能割や軽油引取税の暫定税率に変更があり、EV・PHEVの重量に応じた負担についても将来の制度化に向けた方針が示されました。
ただし、こうした動きを走行距離課税の導入決定と結び付けるのは正確ではありません。今後は、政府の正式発表、国会会議録、税制改正大綱に導入時期や税率が具体的に示されるかを確認することが、誤情報に振り回されず、自動車の維持費や買い替え計画を考えるための判断基準になります。 (出典: 走行 距離 課税(Yahoo!ニュース))